2016年7月29日金曜日

Aktivist


Wegner in den 1910er JahrenQuelle:Wikipedia(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/86/Armintwegner1890s.jpg/380px-Armintwegner1890s.jpg)



 人の一生を変える出来事、Wendepunkt(転機)というのは幸いでもあり災いでもあります。しかしそうした出来事によって信念を持つようになるのなら、それはそれで素晴らしいことではないのでしょうか。たとえその信念によって苦難を強いられることになったとしても。ヒトラーに異を唱えた人物としてまず思い浮かぶのは、やはりSophie Schollかと思います。今回は視点を変えて、ユダヤ人迫害に反対した Armin. T. Wegnerを取り上げてみましょう。

 Armin. T. Wegner(1886-1978) がヒトラーに抗議の手紙を書くまでにはもちろん、契機となる出来事がありました。第一次世界大戦中、Wegnerはドイツ衛生部隊のSanitätsunteroffizier(衛生部下士官とでも訳せるでしょうか)として、同盟国であったオスマン帝国に派遣されます。1916年、Wegnerはアナトリア東部でオスマン帝国によるアルメニア人虐殺を目の当たりにすることになります。写真を撮ることは禁じられていたにもかかわらず、Wegnerはその様子を撮影し(逃亡中に命を落とした人々の姿も、Wegnerのカメラは捉えています)、そしてそのときの一連の記録写真は Armenian National Instituteのサイトに載っています。バイオグラフィーもありますが、関心のある方はウィキペディアの記述も読んでみてください。リンクも充実しています。
やはりこれが転機となったのでしょう。大戦後、Wegnerはパリ講和会議に臨むアメリカのWilson大統領に宛てて、1通の手紙を出しています。アルメニア独立のために尽力するよう求めたのです。思うに、こうした体験が人道活動家としてのルーツとなり、後のヒトラーに対する抗議へとつながったのでしょう。

  „Herr Reichskanzler!“ Wegnerがヒトラーに宛てた、ユダヤ人迫害に抗議する手紙はそのようにして始まります。下書きとも言える „Für Deutschland! Offener Brief an die Führer der erwachten Nation, zu Händen des Herrn Reichskanzlers Adolf Hitler“ は、後の完成版と比較して、やはりWegnerが真実書きたかったことが前面に押し出されているように思われます。実際に出された手紙、 „Die Warnung Sendschreiben an den deutschen Reichskanzler Adolf Hitler“ では削除されているのですが、ユダヤ教の教典タルムードの一節が引用されています。曰く、„Verdamme nicht deinen Nächsten, bevor du in seiner Lage warst.“(Wegner. S.136) 。そしてここから先は完成版も同様ですが、Einstein EhrlichRathenau(Waltherの父) などの名前を挙げ、いかに彼らがドイツに貢献したかを書き連ねます。
                         


                        










  (Rufe in die Welt:
                 Manifeste und Offene Briefe)



 Wegnerが正しかったことを証明するような訴えも、手紙には書かれていました。
„Herr Reichskanzler! Schützen Sie Deutschland, indem Sie die Juden schützen!“ (Wegner. S. 146)
この後、Wegnerは逮捕されるのではありますが、研究報告を読むと、手紙と逮捕の間に関連があったとは必ずしも言えない、と書かれています。

以上引用も踏まえて書いてきましたが、私が思うのは、やはり無関心は罪であるということです。ヒトラーはそうした無関心を計算に入れ、ポーランド侵攻を前に「誰が今日なおアルメニア人虐殺を口にするだろうか?」と発言しています。 暴力行為が行われている中、傍観者でいることは何を意味するのか。Wegnerの文章はそう問いかけているかのように思えてきます。

Yuki Watanabe


今回参考にした資料・HP
Esau, Miriam/Hofmann, Michael(Hg.), Wegner, Armin.(2015) Rufe in die Welt: Manifeste und Offene Briefe. Göttingen: Wallstein Verlag. (Wilson大統領に宛てた „Brief an den Präsidenten der Vereinigten Staaten“ も収録されています)
Armenian National Institute (http://www.armenian-genocide.org/ )
Armin T. WegnerWikipedia (https://de.wikipedia.org/wiki/Armin_T._Wegner )
Benz, Wolfgang.(2016) Aghet und Holocaust. (http://www.bpb.de/geschichte/zeitgeschichte/genozid-an-den-armeniern/218115/aghet-und-holocaust ) (Bundeszentrale für politische Bildung)



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